Twitter
Twitterはこちら
Calendar
SunMonTueWedThuFriSat
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< October 2016 >>
New Entries
Archives
Categories
Recent comment
ツイッターを追跡
Profile
Links
Mobile
qrcode
Admin
無料ブログ作成サービス JUGEM
Seach this site
2016.10.19 Wednesday
永い言い訳

西川美和さんはすごいなと。

家族の崩壊の先、人間として失格という烙印を押された人たちの

その先の人生を軽やかに描いている。

 

圧倒的に映像が美しい。

側にいて見守っている感覚に陥る。

この美しさと親近感はなんだろう。

フィルムで回していること、75歳のカメラマン山崎裕さんの肉眼が

私たちの眼を通して世界に問いを投げかけている。

アナログな方法で家族の喜びや悲しみを丁寧に丹念に織り込んでいる。

 

主人公の永い言い訳の最中をわたしたちは旅をする。

家族をなぜ作らなかったのか、妻をなぜ愛せなかったのか、

あの日なぜ自分は過ちを繰り返していたのか、

道徳的に生きることのできない彼が、普通じゃない家族の形を模索し、

過ちを犯した自分という罪の意識を少し歪で不釣り合いな形で溶かしていく

 

竹原ピストルさんが演じるトラックの運ちゃんで元ヤンみたいな役の

放つなんでもないフレーズがいちいち胸に刺さるのだ

人の受け止め方とか醜くて汚い心の澱を誰かに投げつけてもいいんだ

許されることがあるんだということがいちいち泣けて全編に渡る音の静けさが

映画館に鼻水をすする音が響いて気恥ずかしかった

大人の大人になれない悲しさやおかしさが子供たちの成長や

地場の薄いところに存在していることをおもったりした

 

実はその近日に「怒り」と「何者」も観たのだけど

期待以上の面白さだった

最近の東宝のヒット作としての勝ちパターンに共通性があったり、

大衆受けするいい企画だなと思ったり

時代性があるので作る存在意義あるよなとか

わたしなりの「分析」が冴えない感じだけど

西川さんが大切にする作り方になんだかときめいてしまった。

子供の成長を測るために、1年間をかけて撮影している。

手間も暇もかかるフィルムで。

小説があってそこから生まれた映画で、震災後の日本に作られてそれを皮肉るところもあって

そういう大切にすべきことを大切にしながら作られたこの映画は

わたしのようななんだか大人になりきれない大人にしっかりと届く作品になっている。

| 小野さやか | 映画の宣伝配給 | 23:23 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
2016.10.18 Tuesday
シベリア抑留の記憶

話題になっていた映画をケイズシネマで

 

「祖父の日記帳と私のビデオノート」

「海へ 朴さんの手紙」

 

シベリア抑留の記憶に関する個人的な記憶を二本立てで。

予告編を観た時から引き込まれていた。

シベリア抑留についての映像を遺そうとするチャレンジを

個人の女性監督が成し遂げたなんて日本のドキュメンタリー界もすごいものを産んだな

とかのんきに思っていたら、知人から幾たびも評判を聞いて観に行った。

 

不思議な感覚に陥る映画だった。

久保田桂子さんのモノローグが心地よくて一寸眠りに陥りそうになるのだけど

スクリーンの向こうの景色に投影するのはシベリアのある地方で

一時暮らした二人のおじいさんたちの世界を想像しうる。

シベリアに行くことよりも、シベリアから帰ってきた人の記憶を丁寧に救い、

その延長を生きる日常の美しい景色や愛おしい時間を編みこんだ映像作品だ。

海を渡ったあの日の記憶、食べ物がなくてひもじい思いをみんなで乗り越えた記憶、

人を殺した殺し方の記憶、支え合った友の記憶、彼らの記憶が監督の存在の深いところに着地していく。

人間は記憶の集合体で生きている。記憶を絡ませあって現在の物語に還元している。

映像の中で、シベリアに行った祖父の孫として生まれた監督が祖父の記憶を留めようとする。

その行為がどうも日本に生きるということ、魂のつながりに生きるということ、

永遠に続くと思われる歴史の記憶の痕跡を残す作業につながっている。

 

もともとは1本の映画にするつもりで撮った作品が

2つに分かれてそれぞれに必要なストーリーと結末を迎えている。

その途中モノローグの風景描写でどうも号泣してしまった。

2作品共に自分の記憶の深いところに落ちてくるものがあった。

1作目はセルフドキュメンタリーのような個人的な覚書という向きが強かったが

2作目は韓国に住む朴さんに寄り添うように撮られている。

 

ティーチインがあり、桂子監督が

「身の丈にあった、嘘のない映像を作りたかった」(私の記憶にある部分だけ抜粋)

とおっしゃっていて、それがとても心に響いた。

わたしはいつからか嘘ばっかりだな、いつからか妥協を覚え、

本当のキモチに向き合うことを諦めていた。

それがすごくうらやましかった。

 

ケイズシネマ10:30の回10月21日まで

早起きして映画を観よう

| 小野さやか | 映画の宣伝配給 | 23:23 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
2016.10.11 Tuesday
君の名は。

 

君の名は。2度目の鑑賞のため新宿バルト9へ

新海誠作品は昔トリウッドで「ほしのこえ」観た以来

調べたら2011年にやっていたから記憶違いでなければそうだろう。

 

君の名は。に どハマりしている

映画的構造の使い方がうまい

男女の入れ替わり、タイムリープ、震災と重なる彗星衝突事件、

東京と飛騨の風景、電車と夕焼け、映画的時間軸の省略の仕方、

音楽の入れどころ(主人公二人の覚醒で歌詞入り曲がスタート)を

もう一度味わうために観ていない友達を誘って再度鑑賞。

 

どこかで観たことのあるエッセンスに一味加えることで

興行収入200億円に迫る勢いの大ヒット中のラブストーリー映画だ

三連休の月曜日、バルト9のシアター9の座席数429は全席満席で

上映中映画の音以外は全て聞こえないほど集中し魅入ってしまった

 

二度目の鑑賞で気づいたのは(ここから観てない人注意のメモ)

冒頭の朝のシーンが入れ替わりの日とその次の日の2日間だったこと、

彗星が落ちる日とその前日の2日間を映画の全体にうまく散りばめて

瀧側と三葉側の視点を時間差で描くことで 同じ日の彗星の絵の層がどんどん膨らんでラストに向かっていること、

二人の名前と、相手を探しているという感情を表現するための涙は、日常に何かが足りないという動機になる。

場所や物がとても効果的で、組紐と口噛み酒と神社のご神体を使用することで

時間という捉え方が一つでないことを示唆している。

 

パンフレットやHPのインタビューで気づいた、

神木くんと上白石さんの男と女のこえとこえがはじめ聞いたときには

とても自然体で技術的なことをあまり感じなかったのだけど

声優としてのテクニックは意識的に排除しているらしいこと、

男女の声の使い分けを声帯ではない部分で表現していること。

 

基本的には映っている絵の役者のこえなのだけど

互いのセリフを何度も重ね合わせることにより強度のあるシンクロになり、

後半の彗星衝突の日では性別や役柄を超えてどちらがどちらのものとわからないほどに混じりあっている。

途中で記憶を呼び起こすための先輩やおばあちゃんのこえやセリフの使い方もうまい。

 

死ぬ瞬間を止めるために口噛みざけを飲んで、三葉の人生を走馬灯のように駆け巡り、

そこで出会うはずのない三葉側からの記憶を得たり、時間の選択という儀式に立ち会うこと、

生きて欲しいという願望と会いたいという願望が

時間軸のすれ違いと役者の声のやりとりで無数に組み合わさっていく

なぜ生まれてきたのか二人がなぜ出会ったかという答えにも聴こえてくる

いつもひいた視点でしか見れないけれど、論理的にはとても素晴らしいシーンだ

どうしてもインターステラーの主人公が過去のある瞬間に戻るための

時間層を描いたCGが衝撃的すぎてアレを想起してしまい、

時間を羊水や川の流れのように描く本編はとても自然なのだけど

あの世界よりすごい物でないと驚けない贅沢な私。。

 

彼は誰時(かはたれどき)について

彗星の分裂、男と女、東京と飛騨、昼と夜、過去と未来、二つの間にある特別な空間を指した映画である。

二つはどちらも一つでは成立しないため、もう一つを追い求めるかのように対になる。

どちらかを行き来して、重なる瞬間を愛しくおもう。

そこに起こるどちらともはっきりとしない怠惰な状態が実はドラマの要素として起こりうる。

答えを探しているとき、答えを発見するとき、そのどちらも実は必要なのだということ。

 

主人公二人が出会うことができるのか

揺れる気持ちにどちらが先に気づいてどちらが動きだすのか

そしていつ出会えるのか、ストーリー全てに心動かされてしまう

電車の中でふたりが出会うファーストシーンと電車の中ですれ違うあのシーンは

新宿界隈で住んでいる私にはよく観る風景に根づいたドラマチックなシーンで

観ていて泣いてしまうし思い出すたび熱い気持ちになる

あぁ恋愛映画や少女漫画好きのわたしには大好物なんだよなーああいう切なさ。

 

そして、瀧くんがタイムリープが一度止まってから

どんどん能動的になっていく過程と先輩という恋慕しながら眩しすぎて

自分らしくいられない存在といつも側にいて支えてくれた人を自覚してそれを表明する行為が

私にとってとても特別で大切な萌えキュンポイントである。

あーいいなぁ、ちくしょう。

 

妹が高校生になった時、おばあさんやお母さんがタイムリープした時、

サイドストーリーで続編を作ってほしいけど

監督の次回作も気になりますね。

先ずは「怒り」と「何者」を観に行くことでこの飢餓感をなんとか埋めようかな

でもRADWIMPSのサントラは買った!

 

 

(写真:伊藤華織)

バルト9エレベーターで撮ってくれた

 

 

| 小野さやか | 映画の宣伝配給 | 23:23 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
2016.10.10 Monday
伊藤さんが跳んだ日

 

写真家ナース・伊藤さんの誕生日だった

何度目かのお祝いの記憶があるよ

気づけば出会って8年も経った

どちらともなく会いたくなったら連絡をして

最近も伊藤さんの北海道のご自宅からもらったトウモロコシと

撮影のお礼のお裾分けで手打ち麺を頂いて食べたら美味しかった

お酒と食べ物が大好きな私たちは今やアデルのような

体型となってしまったが

中身は高校生くらいの乙女のままで

大事にしたい感情とか守りたいものを

いつからか共有している

誰も言ってくれないような言葉をかけてくれたり

わたしの大切にしているものを一緒に愛でてくれたりする

さすれば天使のような存在である

 

誕生日から夜勤の仕事へ向かった伊藤さん

いつまでもその前向きで純粋な気持ちを大切にしてほしいと

心から願うよ

 

家族とお祝い事で来るバルバッコアでランチ。

 

 

 

 

 

 

伊藤さんが歩行者天国で跳んだ日

君がそばにいてくれるだけでぼくは幸せだ

いつまでも仲良くしてください

| 小野さやか | 映画の宣伝配給 | 23:23 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |